早稲田大学創立100周年の優勝2
6回裏からは、押さえの切り札足立君を投入。完璧な投手リレーかと思いきや、9回裏にドラマが待っていました。週刊ベースボールの記者の方が、「Y、優勝したら胴上げしてもらえよ。」とリクエストをされ、私も選手達もその気になっていました。「足立なら大丈夫だろう。」ところが、9回裏。先頭の2番打者は打ち取ったのですが、3番打者に二塁打を打たれ、1死二塁、一打同点の場面で迎えるバッターは4番の八重樫君です。私は考えました。セオリーは当然勝負です。八重樫君を歩かせたらサヨナラのランナーです。堂々と勝負するのも男らしいですが、私は早稲田新人チームの指揮官です。確実に優勝できる方法は、八重樫君を敬遠することだと判断し、敬遠を指示しました。
その時ほとんど早稲田びいきの観衆からブーイングが起こりました。「勝負!勝負!」さて結果は、東大の5番バッターは強い当たりのセカンドゴロ。2年生の船津君がうまくさばき、ショートの山川君にトス、ファーストの木村君に転送されゲームセット。早稲田大学新人チーム、17度目の優勝達成!でも、私にはやることが残っていました。試合終了の挨拶が終わるや宮崎監督のもとへ行き、「覇者早稲田が敬遠してすみませんでした。」と侘びをいれました。
週刊ベースボールの方にも、丁重に、胴上げはできない旨を伝えました。それから、東大の平野監督にも謝りに行きました。平野監督はリーグ戦の監督さんでもあり、自然とそういう行動をとっていました。とにかく、これで、秋季リーグ戦に優勝しようというモチベーションが強くなったのは確かです。夏の軽井沢合宿は4年生15名全員が参加しました。主将の安部君や助監督の横山君の働きかけがあり、宮崎監督もそれに応じて下さいました。
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